2011.2.6 狩野氏探訪レポート

狩野茂光墓所

 函南町大竹
 2月6日(日)狩野城の会会員の皆様との合同研修で、函南・小田原・八王子に行ってきました。
 最初に、函南駅付近、狩野茂光墓所を見学しました。
 伊豆において流人生活を送っていた源頼朝が、平家打倒のため旗揚げすると、茂光は馳せ参じ、石橋山で平家と交戦しました。残念ながら戦に敗れ自害したことは、前頁記載のとおりです。
 頼朝は、命からがら安房に逃げ延び、後に平家を撃ち破り、鎌倉幕府を開きます。茂光は偉大な功績を数多く残したこともあり、源頼朝により、旧領を任され、狩野城はこの地に続くことになります。
 茂光の墓所は当時箱根山中にあったようですが、函南町大竹に移され、墓碑・五重塔は北条宗時と共に祀られています。
 地元大竹区の方々は、毎年秋の彼岸に供養祭を催しています。(写真下)
石橋山古戦場跡

 小田原市内
 伊豆で20年にも及ぶ流人生活を送り続けていた源頼朝でしたが、治承4(1180)年8月20日、北条・安達・土肥・佐々木等に狩野・加藤を加え、300余騎の武士団を編成し、伊豆を発ち、相模国へ向かいます。
 途中真鶴岬に近い「石橋山」で、陣を張ります。一方平家軍は、大庭景親を大将に3000騎が、谷をへだてた東側の山に陣をとっていました。
 8月23日、両軍の戦いが始まりました。これが「石橋山の合戦」です。戦いは一進一退で夜明け近くまで続きました。しかし数でわかるように、騎数で10倍という圧倒的な多さもあり、頼朝軍は敗北、頼朝は山中の洞窟に身を隠し、追手から逃れ、命からがら船で房総へ逃げ延びました。
狩野殿小路

 小田原市内
 小田原市内に「狩野殿小路」と呼ばれる旧地名がありました。これは、小田原城南西部にあった地名です。城下町として昔からあった地名は、時代の移り変わりに伴って、呼び名や範囲などが変わりながら明治維新を迎えたわけですが、狩野殿小路という名称は現在に残ったわけです。
 「狩野殿小路」が示すように、北条氏の家臣としての狩野氏が、小田原城を取り囲む城下町の一角に居住していたことは、他の地にあっても勢力をのばしていたことが伺えるものと感心しました。

以下「狩野氏の歴史」からの引用です。
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 小田原市に「狩野殿小路」という旧地名がある。市内の小田原城の南西の海岸線に近い市街地の一路線である。市で建てた標柱には、表に漢字で「狩野殿小路」、裏側にひらがなで「かのどのこうじ」、側面には地名の由来についての説明が刻まれてる。それによりると、「小田原北条氏の家臣、狩野氏宅があったとも伝承されてきた」とある。
 戦国時代、後北条氏の家臣として活躍した、狩野介はじめ狩野氏一族の往時を偲ぶことのできる標柱である。
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小田原城

 小田原市内
 狩野氏一族は、平安時代半ばから約400年余りにわたり、狩野地区の領主でした。しかし、明応7(1498)年、伊勢新九郎(後の北条早雲)によって本拠である狩野城を明け渡すことになります。といっても、狩野氏滅亡ではなく、一族は小田原へ移封(国替え)されますが、その後の狩野氏の活躍にも目覚ましいものがありました。
 天文3(1534)年には狩野左衛門尉、後北条氏に仕え、鶴岡惣奉行衆の役につき、天文19(1550)年頃には狩野氏一族は晴れて小田原城下に移住します。
 そして移封61年後の永禄2(1559)年には、関東における大領主に成長していきます。
 小田原城は、明応4(1495)年に伊勢新九郎によって占拠されましたが、当時の新九郎の地盤は伊豆にあった、との説明を受けました。3年後の狩野城開城を考えると、本当のことだったのだと痛感しました。
 小田原城は豊臣秀吉の攻撃に備え、巨大外郭を備える日本最大級の城郭となり、北条氏滅亡後も江戸城の守り城として、大きな役割を果たしました。再興された天守閣から見る小田原の町並みを、大名気分で見ることができました。
八王子城址

 八王子市内
 「北条氏康の三男北条氏照は、関東の西を固める軍事上の拠点として、元亀2(1571)年頃から八王子城を築城し、本拠としました。狩野氏一族の武将狩野一庵(宗員)は、氏照の重臣(奉行人・祐筆)として活躍し、天正18(1590)年豊臣秀吉軍の前田利家・上杉景勝に攻められ討ち死にするまで、八王子城を守り続けました。「八王子城址碑」にはその名が刻まれています。
 八王子城はいわゆる山城で、最近になって城址の一部、曳橋・御主殿石垣などを復元公開しました。
 今回の研修では、いくつかの曲輪をめぐりましたが、時間が足りず、御主殿跡と山腹の金子丸を見て帰ってきました。狩野一庵が奮戦むなしく戦死した小宮曲輪や本丸跡などは、次回探訪する時があれば、楽しみにしたいです。